断熱のしくみ

1.断熱の仕組み
断熱とは正確には熱を断つのではなく熱エネルギーの移動を妨げることです。
熱エネルギーの移動 伝熱形態には 熱伝導 熱対流 熱放射の3種類があります。

熱伝導 ガスコンロで熱せられた鍋で調理をするときなど。

熱対流 扇風機の風やドライヤーの風など。

熱放射 電気ストーブの熱や太陽の日射熱など。

物体の熱の伝わり易さを表すものに熱伝導率と言うものがあります。
図のような棒の両端に温度差があると熱エネルギー(W)が伝わります。

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その熱エネルギーを棒の長さ(m)と温度差(Kケルビン)で割ったものが
熱伝導率(W/mK)です。

建物の構造には 木造 鉄筋コンクリート造 鉄骨造があります。

それぞれの材料の熱伝導率は

木材0.12W/mK  コンクリート1.0W/mK  鉄(鋼材)53W/mKです。

空気は0.024W/mKです。

数値が大きいほど熱を伝え易くなります。
木材は内部に空気を含んでおり断熱性があります。
コンクリートは木材に比べ10倍、鉄は400倍以上熱を伝え易くなります。

熱が伝わり易いと言うことは、それだけ断熱がしづらいと言うことになります。

建築で使用される断熱材にはグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材と押出法ポリスチレンフォームやウレタンフォームなどのプラスチック系断熱材があります。

グラスウールの原料はガラス、ロックウールの原料は鉱石、ポリスチレンやウレタンはプラスチックが原料です。
これらの原料自体は熱を伝えやすいのですが、繊維やプラスチックの空隙に含まれている空気や発泡ガスが断熱の主役をしています。

断熱材の熱伝導率は
ロックウール0.036~0.047W/mK セルローズファイバー0.040W/mK
押出法ポリスチレンフォーム0.028~0.040W/mK
硬質ウレタンフォーム0.023~0.029W/mK です。

コストは
ロックウール 低  押出法ポリスチレンフォーム 中  セルローズファイバー 硬質ウレタンフォーム 高 です。

断熱の工法には 外断熱(鉄筋コンクリート造) 外張り断熱(木造 鉄骨造)
内断熱(鉄筋コンクリート造) 内張り断熱(鉄骨造)
充填断熱(木造 鉄骨造)があります。

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外断熱や外張り断熱は躯体の外側に断熱材を施工したもので、内断熱 内張り断熱は躯体よりも室内側に断熱材を施工し充填断熱は躯体部分に充填する工法です。

外断熱や外張り断熱は、躯体をすっぽり外側からくるむ工法で熱橋(ヒートブリッジ)を起こしにくく内部結露も起こしにくいですが、コストがかかることとバルコニーなどの突出部があるとその部分は内側で内断熱補強をしなければなヒートブリッジを起こします。

ヒートブリッジ 熱橋とは、他の部分よりもそこだけ熱のエネルギーの流れが多いことを言います。
コールドブリッジ 冷橋と同じ現象です。冬の寒い日外部の気温により冷やされた壁から内部の床や間仕切り壁や柱や梁を伝って内部に冷たさが伝わる現象です。
熱を伝えやすい鉄骨造が一番影響を受けやすく、次いでコンクリート造、一番影響を受けにくいのが木造になります。

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鉄筋コンクリート造のマンションなどで採用されていた内断熱はコストを低く抑えることができますが、ヒートブリッジにより内部結露でカビが発生しやすくなります。

鉄骨造はヒートブリッジを起こしやすく内部結露により材料劣化を生じる可能性が高く、木やコンクリートと違い材料自体に吸放湿性がないので結露水が腐食の原因となり周辺の材料に湿害を引き起こす可能性があります。
鉄骨造は熱を伝えやすいため内部結露に対する対策が重要になります。

木造は熱を伝えにくい材料なので鉄筋コンクリート造や鉄骨造よりもヒートブリッジを起こしにくいですが、自体の吸放湿性の限界を超えると内部結露を起こす可能性があり充填断熱の場合効果が落ちる可能性があります。

構造体のヒートブリッジ防止という点から言えば外断熱・外張り断熱が有利ですがプランを単純化(凹凸の無い形)しなければコストが上がる割りには効果が上がりません。

どの工法にも一長一短があり断熱材にも一般的な性能のものから高性能なものまであります。
躯体の工法やプランや予算により選択する必要がありますが、どの工法にしろ

重要なのは施工の質で、図面上で指示するだけではなく現場に出向き職人さんとコミュニケーションを交わし、設計者の熱意を施工管理者や末端の職人さんに伝え、質の高い施工をしてもらうことが大事なことです。

2.人や動物にやさしい建物とは
日頃無垢の木の板貼り(厚さ35mm)の事務所で仕事そしているせいでしょうか。
休みの日に偶にデパートなどに買い物に行った日、今日は足腰が疲れたなと感じる時があります。
それも夏場よりも寒い冬にそれを感じます。
デパートなどのビルは鉄筋コンクリート造や鉄骨造でできています。
床の納まりはコンクリートの上に塩化ビニールシートやプラスチックタイルを貼ったものです。(鉄骨造でもデッキプレートという鉄板の上にコンクリートを流し込み床にしてあります)

ある興味深い研究があります。
静岡県木材協同組合連合会の委託により静岡大学農学部家畜飼育学研究室と木材物理学研究室の共同で行った、「マウスを用いた床材性能評価の試み」と言う研究です。

http://www.fpri.asahikawa.hokkaido.jp/rsdayo/22944052001.pdf

今から25年前に報告されていますが、17年前にこの研究を知りました。

材質の異なる床製、金属製およびコンクリート製の3種類のゲージで飼育し、マウスに起きる生物学的反応によって居住性を客観的に評価してあり、とても高く評価できる実験であると思います。

この実験で木というのはマウス(動物)にとってやさしい素材であることがわかります。

この実験が直ちに人の健康に結びつくものではないかもしれませんが、休むとは人が木に寄り添った形になっています。
木というのは人や動物にとってむかしから最も身近にある健康的な材料であり、建物の用途や規模によっては防火上の制限なども出てきますが、なるべく無垢の木を建物に使いたいものです。




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